カナダ主要CMAのpurpose-built rental apartmentの平均空室率は3.1%に上昇し、2024年の2.2%から上昇して10年平均を上回った。全テナントが支払う2ベッドルームの平均家賃は5.1%上昇した。一方、供給増と人口・経済成長の鈍化による需要減退が全体として賃貸市場を軟化させ、過去数年続いた需給の不均衡は緩和した(Highlights)。
家賃上昇率は地域で差が出た。Vancouver、Calgary、Edmontonでは伸びが大幅に鈍化した一方、MontréalとHalifaxでは加速した。新規テナントが支払う家賃(turnover rent)は空室率上昇を受けて多くの都市で低下し、2ベッドのturnover unit rentはVancouver、Calgary、Toronto、Halifaxで下落した。ただし平均では新規テナントの支払う家賃は既存テナントより高い水準にあった(Highlights)。
Vancouver CMAの空室率は30年超ぶりの高水準に達し、パンデミック時のピークをも上回った。連邦政府による非永住者向け政策変更や若年層の高失業率が需要を軟化させ、B.C.州では3四半期連続で非永住者の流出が続いた。purpose-built rental供給は5年平均を上回るペースで増加した。Victoria CMAの空室率は3.3%と1999年以来の高水準となり、Vancouver同様に国際移民や学生の流出が影響したが、家賃はturnoverの増加により上昇が加速した(Vacancy Rate 30 years / Vacancy Rate since 1999)。
賃貸市場の軟化を背景に全ユニットタイプで入替(turnover)が増加し、2024年からの傾向が続いた。事業者は1〜2か月分の家賃無料などのインセンティブを提供して新規テナントを獲得・既存テナントを維持した。ToronoやVancouverでは所有市場の低迷を受けて分譲マンションが賃貸市場に流入し競争が強まった。ただし低所得世帯向けの手頃な賃貸ユニットの空室率は1〜2%程度にとどまり、依然として供給不足が課題として残った(Highlights / Rent growth slowed / Higher turnover)。
全テナントの2ベッドルームユニット平均家賃は同一サンプルで過去1年間に5.1%上昇し、住宅費への上昇圧力が続いた(Average rent growth)。平均2ベッドルーム家賃上昇の約40%は入居者の入れ替わりによるもので、空室になったユニットが高値で再設定されたことによる(Canada Table 6.1)。一方、2025年は専用賃貸住宅(purpose-built rentals)の空室率が主要CMA全てで上昇し、全国平均は過去10年平均を上回った。コンドミニアム賃貸の空室も上昇したが専用賃貸を大きく下回った(Canada Table 4.1)。
家賃上昇率は前年より若干低下したが、なお着実な上昇を示した。都市別では、モントリオールとハリファックスで特に古い低価格ユニットの家賃上昇が加速し、州の高い家賃ガイドラインが押し上げ要因となった。カルガリーは空室回避のため2ベッドルーム家賃を据え置き、バンクーバーとエドモントンは稼働率低下により上昇が鈍化した。空室率はトロントがパンデミック以来初めて3%、バンクーバーが1988年以来最高の3.7%に達した。カルガリーとエドモントンは主要市場で最も高い空室率が続いたが、カルガリーは大量供給にもかかわらず前年から横ばいだった。
空室率・入れ替わり率の上昇と新規供給により、テナントの移動が活発化しフィルタリング効果が生じた。トロントとバンクーバーで入れ替わり率が上昇した(Canada Table 1.0)。2024年と異なり、2025年の空室率上昇は全家賃帯で発生し、過去10年で初めて最も安価なユニットも上昇を牽引した(Figure 2)。供給面では、2024年の記録的増加後も2025年に賃貸ストックは拡大し、特にカルガリー、エドモントン、モントリオールで完成が歴史的トレンドを上回った。
移民政策の変更により人口増加が急減し、賃貸世帯形成の主要な担い手である15~34歳の就学・就労許可保持者の流出で需要が減退した。この傾向はブリティッシュコロンビア州とオンタリオ州で顕著だった(Figure 3)。手頃さは最も高価な市場で安定の兆しが見られ、バンクーバー、カルガリー、トロントで家賃対所得比率が前年比で改善した一方、オタワ、モントリオール、ハリファックスでは悪化した。カルガリーでは専用賃貸供給が前年比11%増と数十年ぶりの速さで成長し、市場は今後緩和すると見込まれる。
2025年のプレーリー地域の賃貸市場では、市場ごとに空室率が異なる動きを示した。Calgary CMAのpurpose-built賃貸アパートの空室率は5.0%で、purpose-built賃貸の供給(universe)は11.0%増加した(Historical vacancy rate table)。Edmonton CMAでは空室率が3.8%へ上昇した(Vacancy rates rose as supply growth outpaced demand)。Regina CMAの空室率は2.7%で横ばいとなり、10年平均を大きく下回った(Vacancy Rate Stabilized)。Saskatoon CMAでは空室率が3.3%へ上昇した(Vacancy rose as new supply outpaced demand)。
Edmontonでは供給の伸びが需要を上回り、賃貸完成戸数が歴史的平均を大きく上回る一方、若年層失業率の上昇と世帯形成の鈍化で需要の伸びが減速した(Vacancy rates rose as supply growth outpaced demand)。Reginaでは供給が2.2%増と2024年より緩やかになり、3ベッドルーム以上の空室率は3.9%から1.4%へ低下した(Vacancy Rate Stabilized / Construction grew moderately)。Saskatoonでは供給が4%増と前年より速く、空室率は前年2%から3.3%へ上昇したが、いずれも10年平均を下回った(Construction and vacancy rates increased in key zones)。
Calgaryでは新築物件が平均家賃を押し上げたが同一サンプルの家賃はほぼ横ばいで、コンドミニアム賃貸の空室率は2.2%へ上昇、賃貸に供される割合は35%へ低下した(Rent growth stabilized / Condominium apartment rentals faced higher vacancies)。Edmontonのターンオーバー率は28.8%へ上昇し、Fort Saskatchewanでは供給不足により家賃が7.4%上昇した(Turnover increased / Average rent growth slowed)。ReginaとSaskatoonではターンオーバー率が低下し、ターンオーバー物件の家賃が非ターンオーバー物件をそれぞれ3.6%、7%上回った(Turnover rates declined 各セクション / Canada Table 6.2)。
全体として家賃上昇は各市場で鈍化したが、賃金の伸びを上回り、アフォーダビリティの懸念が続いた。Calgaryではrent-to-income ratioが低下しアフォーダビリティがわずかに改善した(affordability improved / Figure 5)。新築供給の増加により入居者の選択肢が広がり、家主は既存テナントを維持するためにインセンティブを提供する動きがみられた(Turnover stable as competitive pressure grew ほか)。
2025年の各CMAで賃貸市場は緩和傾向を示した。Greater Toronto Area(GTA)の専用賃貸アパートの空室率は3%へ上昇した。Hamilton CMAの空室率は3.6%へ上昇し、COVID-19以降で最高水準となった。Kitchener – Cambridge – Waterlooの空室率は横ばいで、数十年来の高水準を維持した。Winnipeg CMAでも郊外を中心に空室率が上昇した。
Winnipegの専用賃貸供給は2.6%増と前年ペースの半分未満にとどまったが、需要はさらに緩やかにしか増えず、空室率が上昇した。GTAの専用賃貸供給は2024年の急拡大の後、2025年はわずか+0.4%の増加にとどまったが、2025年第3四半期には過去最多の建設中戸数が記録された。Hamiltonの専用賃貸供給はほぼ横ばいだったが、第3四半期には過去最高水準に近い1,337戸が建設中だった。Kitchener – Cambridge – Waterlooの賃貸アパート供給は2.8%増加した。
GTAでは、大学のある地域で空室率が顕著に上昇した。York大学Keeleキャンパスなどを抱えるDownsviewの空室率は2023年の0.7%から2025年に3.1%へ上昇し、MississaugaやBramptonの一部は4%を超えた。一方、Old Torontoの空室率は安定した。過去3年間に建設された新規物件の空室率は約7%に達し、2022年以降完成の建物の75%が少なくとも1つのインセンティブ(多くは1〜2か月の家賃無料)を提供した。Hamiltonでは、McMaster大学やMohawk Collegeの学生が多いZone 5・6で空室率が高く、コンドミニアム完成が多かったZone 1(Downtown)でも空室率がCMA平均を上回った。
GTAでは2-bedroomのターンオーバー家賃が2.5%下落し、テナントの流動性が高まった。離職率(turnover)は過去最低の6.4%から2025年に8.5%へ上昇した。賃貸コンドミニアムアパートの空室率は1%で専用賃貸平均を大きく下回った。手頃さ面では改善が見られたものの、GTAの平均所得者が空室の1-bedroomを借りるには税引後所得の42%が必要とされた。Kitchener – Cambridge – Waterlooでは供給が高価格帯に偏り、最も安価な物件の空室率は1%未満にとどまり、低所得層の手頃さが依然課題となった。
2025年の各都市圏(CMA)の民間賃貸集合住宅市場では、空室率の上昇が広く見られた。London CMAの空室率は4%となり過去15年で最高水準に達した(Highest vacancy rate since 2010)。Ottawaの空室率は3%へ上昇し(Vacancy rate rose slightly in 2025)、St. Catharines–Niagaraは3.9%で前年並みかつ10年超ぶりの高水準を維持した(Vacancy rate steady in 2025)。Windsor CMAは3.7%と高止まりし、オンタリオ州および全国平均を上回った(Vacancy rate stayed high)。
Ottawaでは2015年以降に建設されたユニットの空室率が6.7%に達し、Ottawa全体平均(3%)の2倍超となった(Vacancy rate rose slightly in 2025、Figure 8)。同ユニットの空室率は2023年10月の2.1%から2024年10月に5%、2025年10月に6.7%へと推移した(Figure 8)。Londonでは、Western Universityのある Zone 4(Northwest)や Fanshawe College のある Zone 2(Northeast)で空室率が高止まりした(Highest vacancy rate since 2010、Table 1.1.1)。St. Catharines–Niagaraでは Niagara Falls(Zones 4-5)で空室率が上昇した一方、Zone 1(St. Catharines–Core)は供給が8.4%増加しても安定を維持した(Vacancy rate steady in 2025)。
供給面では、Londonの民間賃貸集合住宅供給が2025年に2.1%増加し、1〜9月に2,585戸が完成して2024年の記録を上回った(Rental completions posted another record high in 2025)。Windsorの賃貸ストックは3.6%増加し、郊外のZones 5・6で供給が拡大した(Supply grew in suburban communities)。需要面では、国際移民(特に留学生)の減少や労働市場の弱含み、関税関連の影響が各都市で共通の下押し要因となった。Windsorの2025年10月の失業率は10.1%と全国主要都市で最高だった(Tariff headwinds)。
Ottawaの家賃上昇率は3.4%と、2024年の約5%から鈍化した(Rent growth slowed)。同市では家賃上昇の約3分の2が入居者の入れ替わり(turnover)ユニットによるもので、空室ユニットは入居中ユニットより13%高く、2ベッドルーム以上では17%高かった(Rent growth slowed)。多くの都市で、市場が緩む中でもturnover rentはほぼ横ばいとなった(Turnover rents were largely unchanged、Turnover rents unchanged)。St. Catharines–Niagaraでは移動プレミアム(turnoverと非turnoverの2ベッドルーム家賃差)が27%で前年からほぼ変わらなかった(Turnover rents were largely unchanged)。手頃な低家賃ユニットは依然として不足しており、Ottawaでは最低家賃四分位のユニットの空室率が1%未満と低位安定していた(Despite market easing, affordability continued to decline)。
2025年、ケベック州の主要都市圏で賃貸市場の緩和が続いた。Gatineau圏では空室率が予測を上回って上昇し、新築ユニットの空室率は10%と平均の3.8%の約3倍に達した(New units posted record-high vacancy rates、Table 3.1.7)。Greater Montréalの空室率は2年連続で上昇し2.9%に達した(Rental market continued to ease in Greater Montréal、Table 1.1.1)。Québec CMAでは空室率が大幅に上昇し、新築ユニットの空室率は約6%、家賃が中央値を下回るユニットは1%だった(Rental market conditions softened in 2025、Table 3.1.7)。Halifaxでも空室率がわずかに上昇した(Halifax's rental market softened、Table 1.1.1)。
市場が緩和する中でも家賃は上昇を続けた。Gatineau圏では2ベッドルームの家賃上昇率が2024年から2025年にかけてほぼ倍増した(Rents continued to rise、Table 1.1.5)。Greater Montréalでは家賃上昇率が7.2%へ加速し(Average rents rose despite market easing、Table 1.1.5)、Québec CMAでは過去最高の6.4%、新規入居者の転居ユニットでは10%に達した(Rent growth reached a record high、Table 1.1.5)。Halifaxでは2ベッドルームの同一サンプル家賃が6.7%上昇し、前年の3.8%を上回った(Rent growth accelerated despite softer market conditions)。Tribunal administratif du logement(TAL)が勧告した過去最高の5.9%の家賃引き上げが更新契約に適用され、上昇を後押しした。
Montréalでは転居ユニットの家賃上昇率が2024年の18.7%から2025年に17.2%へ低下した一方、非転居ユニットは4.7%から6.0%へ上昇した(Figure 9)。Halifaxでは新規入居者の転居ユニットで23%高く再設定され、既存入居者では4%だった(Rent growth accelerated、Canada table 6.1)。Québec CMAでは転居する賃借世帯の割合が13%と地域で過去最低を記録した(Rent growth reached a record high、Table 1.2.3)。
各都市圏の市場緩和は、新築ユニットの供給増と、非永住者(特に留学生や一時就労者)の減少による需要鈍化が組み合わさって生じた。手頃な価格帯のユニットは依然として不足しており、家賃格差が入居者の移動を抑制している。今後も建設中の物件の供給により、市場のさらなる軟化が見込まれる。
提供された抽出テキストは、2025 Rental Market Report の本編データではなく、脚注(Footnotes)、専門家インサイトの案内、経済チーム紹介、購読・共有・フィードバックに関する補助的セクションで構成されている。そのため、空室率・賃料水準・前年比などの具体的な市場指標の数値は本抽出テキストには含まれていない。
脚注では、賃貸供給またはストックがCMHCのRental Market Surveyにおける調査対象件数を指すことが示されている。対象となる賃貸集合住宅は、3戸以上の民間開発(privately initiated)物件である。同一サンプル計算(same-sample calculation)は、両調査期間に共通する建物を含み、継続入居中・空室・新規賃貸のユニットを対象とする。また、2ベッドルーム賃貸住宅について新規テナントが支払う平均市場賃料が指標として定義されている。ターンオーバー賃料水準の前年比変化率は、2024年と2025年の平均に基づいて算出される。手ごろさ(affordability)の計算は、CMHC、カナダ政府、Statistics Canadaのデータに基づく。
抽出テキストには市場動向の定量的な変化を示すデータが含まれていないため、トレンドの数値的評価は本テキストからは行えない。専門家インサイトの案内では、Deputy Chief EconomistのTania Bourassa-Ochoaが2025年に何が変化したかを解説する旨が記載されているが、具体的な変化の内容や数値は本抽出テキストには示されていない。
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