2025年のカナダの住宅着工は前年比6%増の259,000戸となり、記録的な賃貸建設と拡大するミッシングミドル住宅が供給を牽引した。ほぼ全ての市場で活動は10年平均を上回ったが、トロントは例外で、着工が歴史的平均を大きく下回り、7大都市圏(CMA)で最も低い一人当たり水準に落ち込んだ(Canada's housing construction remained resilient in 2025)。アパート着工(コンドミニアム・賃貸)ではバンクーバー21,844戸、モントリオール25,223戸、トロント18,986戸などが記録された(Figure 1)。
賃貸建設が新規供給を主導し、建設中の賃貸戸数は10年平均のほぼ2倍に達した。カルガリー、エドモントン、オタワ、ハリファックス、モントリオールで過去最高、トロントで過去2番目の水準となった。供給増は空室率の上昇と家賃上昇の鈍化をもたらし、2026年の見通しでは今後3年間で賃貸市場のさらなる緩和が予測されている。ミッシングミドル住宅は7大CMAで約10%増加し、カルガリーとエドモントンが牽引して新規着工の約60%を占めた(主にロウ・タウンハウス)。トロントは約40%で、その半分超が既存建物の転換(conversions)によるものだった(Housing system successes …、Figure 3)。
建設期間も2025年に改善し、カルガリー、オタワ、エドモントンで最も強い改善が見られた。完成件数も高水準で、バンクーバーは主にアパート完成に牽引され新記録、カルガリーとエドモントンも記録的水準に達した。モントリオールはやや減少したが長期平均近くを維持し、オタワ・トロント・ハリファックスも小幅な軟化にとどまり歴史的に堅調だった(Housing system successes …)。
一方で持ち家向け建設は全体的に弱まった。コンドミニアム着工は全国で急減し、プレセールの崩壊、投資家の後退、高コストが融資に必要なプレセール基準の達成を困難にし、特にトロントとバンクーバーで将来供給が危機に瀕している。この減速はモントリオールを除くCMAで完成済み・未吸収在庫の2桁増加と重なり、バンクーバーは未販売コンドミニアム在庫が最多、エドモントンは戸建て系在庫が最多となった。またバンクーバーではコンドミニアム着工の都心からの平均距離が上昇し、2025年に20.59kmに達した(Where Canada's housing supply needs to improve、Figure 1〈Vancouver〉)。
2025年の住宅着工・完成・上場は、低調な需要、人口増加の鈍化、根強いコスト圧力に直面した。労働市場の軟化、経済的不確実性、高い価格対所得比により多くの潜在的購入者が慎重姿勢を維持した。転売上場の増加が新築住宅との競合を強め、発売価格に下押し圧力をかけ吸収を鈍化させた(Housing supply adjustments to demand, demographics and costs)。地域別ではエドモントンとカルガリーがともに着工記録を更新した。
エドモントンでは2025年に2年連続で着工が記録的水準に達し、賃貸・持家の両セグメントが成長に寄与した。連邦・自治体プログラムが賃貸着工を後押しし、コンドミニアム着工も相対的に手頃な持家市場を背景に増加した(Record-high starts driven by both rental and ownership construction)。中密度住宅は全着工の60%を占めた(Missing middle construction continued its upward trend)。カルガリーは4年連続で記録を更新し、初めてトロントを上回った。賃貸アパート着工は前年比75%増となった一方、コンドミニアムアパート着工は11%減少した。ミドル住宅は全着工の約3分の2を占めた(Housing starts hit another record high、Rental and missing middle homes led construction)。
カルガリーのアパート着工は前年比28.8%増、建設中も29.2%増だったが完成は10.3%減と着工に完成が追いつかず、建設中戸数が拡大し労働力などの供給能力の逼迫が顕在化した(Capacity pressures are emerging、Figure 1)。建設コストは高止まりだが2024年より緩やかに伸び、モントリオールが最も速く上昇し、トロントが最低の伸びとなった(Housing supply adjustments)。
トロントとバンクーバーでは完成・未吸収のコンドミニアムが増加し、エドモントンとカルガリーでは地上型住宅の過剰在庫が生じた(The path forward)。移民の緩和によりトロントとバンクーバーの人口増加はマイナスに転じ、投資家の活動が一部後退した。全国の着工は高コスト・需要軟化・在庫増を背景に2026-2028年にかけて減少が見込まれる。家族向け持家供給はアパート開発への依存と高コストにより構造的に不足が続いている(Housing supply adjustments、The path forward)。
本レポートはトロントおよびオタワの住宅供給動向を扱う。短期的には両市とも完成戸数の高水準や記録的な新規売り出しに需要の減退が重なり、空室率上昇・賃料伸び鈍化・住宅価格下落など緩和的な市場環境が現れている(Highlights、Market shows short-term surplus and long-term supply risks)。オタワでは2025年の総住宅着工が10,000戸を超え、ほぼ記録的水準となった(Near-record starts driven by rental construction)。
トロントの住宅着工は2025年に再び減少し、2009年以降で最低の水準となり、初めてCalgary・Montréal・Vancouverを下回った。プロジェクトの完成には数年を要するため、現在の着工減少は将来の供給不足を示唆する(Market shows short-term surplus and long-term supply risks)。市場セグメント別では、新築や小型の分譲マンション、大型で高価な住宅で余剰が大きく、手頃な家族向け住宅では相対的に均衡が保たれている(Highlights、Market shows short-term surplus and long-term supply risks)。
トロント市では賃貸戸数の着工が分譲マンション着工を初めて上回り、目的建設型賃貸の着工は1990年以降で2番目に高い水準となった(Developers shifted toward rental and smaller projects)。トロントCMAでは2025年に3〜5戸の建物が100戸超の建物を初めて上回り、3〜5戸のシェアは53.1%、100戸超は28.7%となった(Figure 1)。オタワでは賃貸が着工を牽引した一方、分譲マンションのシェアは2023年の約3分の1から2025年には約10%へ低下した。ミドルミドル(medium-density)住宅は新規建設で全体の約45%を占め、新規・改修とも過去最高となった(Near-record starts driven by rental construction、Medium-density construction remained historically strong)。
両市とも短期的な緩和の裏で長期的な供給リスクが積み上がっている。現在の高い完成戸数は数年前のより有利な資金調達環境下の判断を反映しており、近年の着工は費用上昇や採算基準の厳格化、景気逆風により低下し始めている。開発業者は資金負担が小さく短期間で供給できる小規模・賃貸プロジェクトへ移行しており、記録的な分譲マンションのプロジェクト中止が将来の供給を数千戸減らす見込みである(Developers shifted toward rental and smaller projects、Market shows short-term surplus and long-term supply risks、Short-term conditions look relaxed, but future supply is set to tighten)。
Montréal CMAでは2025年の住宅着工が過去最高に達し、賃貸住宅が牽引した。Figure 1(Starts, by tenure)によると、2025年の賃貸着工は23,089戸で全着工の80%超を占めた一方、コンドミニアム着工は2,027戸と歴史的低水準にとどまった。Ottawaでは建設中の賃貸アパート戸数が2025年に過去最高を更新し、12月時点で11,031戸に達した(Figure 1: Ottawa units under construction)。
Montréalの賃貸着工は2024年の13,813戸から2025年に23,089戸へと大きく増加した。対照的にコンドミニアム着工は2024年の1,869戸から2025年に2,027戸と低水準が続いた(Figure 1)。投資家活動の低迷、経済不確実性、新築と中古の価格差がコンドミニアム事業の実現性を低下させた。賃貸とコンドミニアムの対照的な動きは、Montréalの建設環境におけるテニュア差の拡大を示している(Rentals increasingly dominate...)。
賃貸建設の伸びはLaval、North Shore、South Shoreで最も強く、土地コストの低さと用地の入手可能性が建設費上昇下での事業成立を支えた(Rentals increasingly dominate...)。ミッシングミドル住宅は着工全体の約3分の1を占め、North・South shoresでは低層アパートが用地の入手可能性を背景に増加し、Island of Montréalでは土地不足と価格高騰を受けてコンバージョンが集中した(Missing middle...)。
2025年の市場は、完成物件の増加や中古在庫の増加が需要軟化と重なり、短期的には緩和した状況にある。ただしこれらの条件は数年前に着手された案件の完成によるもので、供給過剰を過大に見せている。着工の鈍化により中長期的には完成が減少し、経済不確実性の後退とともに需要が回復すれば需給不均衡が生じる可能性がある(Relaxed market conditions...)。建設中戸数が過去最高となる中、熟練労働力不足などの能力制約が今後の着工を制限しうる(Short‑term conditions...)。
Halifax CMAにおけるアパートの建設中戸数は、2025年に12,389戸と記録上最高水準に達した(Figure 1)。同年の住宅タイプ別の建設中戸数は、Single-detachedが682戸、Semi-detachedが214戸、Rowが712戸となっている(Figure 1)。
アパートの建設中戸数は2024年の8,848戸から2025年の12,389戸へと大幅に増加した(Figure 1)。Row(連棟)住宅も2024年の551戸から2025年の712戸へ増加し、シリーズ内で最も高い水準となった(Figure 1)。一方、Single-detachedは2024年の683戸から2025年は682戸とほぼ横ばい、Semi-detachedは218戸から214戸へわずかに減少した(Figure 1)。
賃貸住宅の建設が全体の活動を牽引する中、中密度住宅(ミッシングミドル)も将来の供給形成において重要な役割を果たし続けた。ミッシングミドルの着工は前年から小幅に減少したものの、記録上2番目に高い水準に達した(Medium-density construction remained historically strong)。
新築の減少は転用(conversions)の増加によって相殺された。これは緩やかな高密度化(gentle densification)や都市近郊でのインフィル開発を促進する政策に支えられたものである。こうしたゾーン以外では、建設業者は高密度の賃貸プロジェクトにより注力した(Medium-density construction remained historically strong)。
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