2025年、カナダの住宅着工は前年比6%増加し259,000戸に達した。ほぼ全ての市場で着工が過去10年平均を上回ったが、Torontoは例外で、歴史的平均を大きく下回り、7大CMA(国勢調査大都市圏)中で人口当たり最低水準となった(Canada's housing construction remained resilient in 2025)。記録的な賃貸建設と拡大するミッシングミドル住宅が新規供給を牽引した一方、所有目的の建設は全体として弱含んだ(Highlights)。
アパート着工(分譲・賃貸)を見ると、2025年はVancouverが21,844戸(10年平均20,108戸)、Montréalが25,223戸(同19,979戸)、Calgaryが14,821戸(同7,044戸)、Edmontonが10,151戸(同4,887戸)と各地で平均を上回った。一方Torontoは18,986戸で10年平均26,856戸を下回った(Figure 1)。賃貸着工はCalgary、Edmonton、Ottawa、Halifax、Montréalで過去最高、Torontoで史上2番目の水準に達した(Key trends in 2025)。
ミッシングミドル住宅の着工は7大CMAで約10%増加した。CalgaryとEdmontonが牽引し、新規着工の約60%がこのカテゴリー(主にロウ・タウンハウス)であった。Torontoは約40%で、その半分以上が既存建物の転用(コンバージョン)であった(Housing system successes…)。地上型住宅着工ではCalgary(12,777戸、10年平均8,633戸)、Edmonton(11,186戸、同8,491戸)が平均を上回り、Toronto(7,101戸、同11,760戸)は下回った(Figure 2)。完工はVancouverが記録的水準に達し、Calgary・Edmontonも過去最高を記録した。
進展の裏で大きな脆弱性が存在する。分譲住宅の着工はプレセールの崩壊、投資家の後退、高コストにより全国で急減し、資金調達に必要なプレセール基準の達成を困難にした。特にToronto・Vancouverで将来の分譲供給が危機にさらされている。完工済み未販売在庫はMontréalを除く各CMAで二桁増加し、Vancouverが未販売分譲在庫で最多、Edmontonが地上型住宅在庫で最多となった(Where Canada's housing supply needs to improve)。CMHCは今後3年間で新規供給が吸収され、賃貸市場のさらなる緩和が見込まれるとしている(Housing system successes…)。
2025年の住宅供給は、需要軟化、人口成長鈍化、根強いコスト圧力に直面した。労働環境の弱含み、経済の不確実性、高い価格対所得比により潜在的買い手が慎重となり、リセール物件の増加が新築との競合を高め、着工価格の下押しと吸収の鈍化をもたらした。一方、エドモントンとカルガリーの両CMAでは着工が過去最高を更新した。
エドモントンCMAでは2025年に2年連続で着工が過去最高となり、南部・コア・西部・北部でアパート着工が急増した。賃貸・持家の両セグメントが成長に寄与し、連邦・自治体プログラムやリゾーニングが賃貸着工を支えた。カルガリーの傾向とは対照的にコンド着工も増加した。カルガリーCMAは4年連続の過去最高着工を記録し、初めてトロントを上回った。賃貸アパート着工は前年比75%増だった一方、コンドアパート着工は11%減少した。カルガリーのFigure 1では、アパートの着工が28.8%増、建設中在庫が29.2%増、完成が10.3%減となっている。
中密度(ミッシングミドル)住宅が拡大し、エドモントンでは全着工の60%、カルガリーでは3分の2を占めた。リゾーニング施策、ダウンタウン再生、グリーンフィールドとインフィル用地の潤沢さがこの傾向を支えた。
建設コストは高止まりしたが、2024年より緩やかな伸びとなった。モントリオールが最も速いコスト上昇を示し、オタワも上昇傾向、カルガリー・エドモントンは伸びが鈍化したものの依然インフレを上回り、トロントは最も低い伸びだった。バンクーバー・トロントでは完成済み未消化のコンドが増加し、エドモントン・カルガリーでは地上型(ground-oriented)供給の過剰が見られた。家族向け持家供給は脆弱で、トロント・モントリオール・バンクーバー・オタワで地上型着工が歴史的平均を下回った。全国着工は高コスト・需要軟化・在庫増を背景に2026-2028年にかけて減少が見込まれる。
トロント・オタワ両市場とも、短期的には供給拡大と需要軟化により緩和的な状況にある。トロントでは完成戸数の高水準と過去最高のリセール市場リスティングが供給を押し上げ、経済の不確実性と人口増加の鈍化が需要を抑制した。オタワでは2025年の総住宅着工が10,000戸を超え、過去最高水準に迫った。空室率上昇、賃料の伸び鈍化、住宅価格下落がこの冷え込みを反映している。
トロントの住宅着工は2025年に再び減少し、2009年以来の最低水準となった。初めてカルガリー、モントリオール、バンクーバーを下回った。プロジェクトが着工から入居まで数年を要するため、現在の着工減少は将来の供給不足を示唆する。マンションプロジェクトの過去最高のキャンセルが数千戸の供給を除去する見込みである。市場セグメント別では、新築・小型の分譲アパートや大型・高価格帯住宅で余剰が大きく、手頃なファミリー向け住宅では相対的に小さい。
開発業者は資金調達の課題と経済不確実性への露出低減を背景に、賃貸・小規模プロジェクトへ移行した。2025年には3〜5戸の開発が100戸超の開発を記録上初めて上回った(Figure 1では3〜5戸が53.1%、100戸超が28.7%)。賃貸専用住宅の着工は1990年以来2番目に高く、トロント市内では初めて分譲アパートの着工を上回った。
オタワの2025年の完成戸数の高水準は数年前のより有利な融資環境下での建設判断を反映しており、リセールリスティングは2020年以来の高水準に達した。賃貸ユニットが新規建設の大半を占め、金利が低かった時期に計画されたプロジェクトや賃貸支援策、O-Train沿線の交通指向型開発が寄与した。一方で分譲アパートの着工は多年にわたり減少し、2023年に着工の約3分の1を占めたシェアは2025年までに約10%に低下した。中密度(missing middle)住宅は全新規建設の約45%に成長し、新規プロジェクト・コンバージョンともに過去最高に達した。
2025年のMontréal CMAでは住宅着工が過去最高に達し、賃貸住宅の建設が牽引した。賃貸着工は23,089戸に上り、全着工の80%超を占めた。一方でコンドミニアム着工は2,027戸と歴史的低水準にとどまった(Highlights, Figure 1)。Ottawaでは建設中の賃貸アパート戸数が2025年12月に11,031戸と記録的高水準となった(Figure 1: Ottawa units under construction)。
Figure 1(Starts, by tenure)によれば、賃貸着工は2024年の13,813戸から2025年の23,089戸へと大幅に増加した。対照的にコンドミニアム着工は2024年の1,869戸から2025年の2,027戸と低水準で推移し、賃貸と分譲の間のテニュア差が拡大した。低い投資家活動、経済の不確実性、新築と中古の価格差がコンドミニアム新規事業の実現性を低下させた(Rentals increasingly dominate housing construction)。
賃貸建設の伸びはLaval、North Shore、South Shoreで最も強かった。これらの地域では土地コストの低さと用地の入手性が、建設費上昇下でも事業の成立を支えた。多くは数年前から開発が進んでいたpurpose-builtの賃貸事業であり、賃貸需要の鈍化にもかかわらず着工に至った(Rentals increasingly dominate housing construction)。ミッシングミドル住宅は着工全体の3分の1を占め、North・South shoresでは低層アパートが、Island of Montréalではコンバージョンが中心となった(Missing middle takes various forms across the CMA)。
完成戸数の高水準と再販物件の増加が需要の軟化と重なり、短期の市場環境は緩和し、賃貸空室率の上昇につながった。しかしこの状況は続かず、着工の減速が中長期の完成を減少させる一方、経済の不確実性が後退すれば需要は増加し、不均衡が顕在化する可能性がある(Relaxed market conditions don’t show potential market imbalances, Highlights)。また、建設中の住宅が記録的水準に達し、多くの建設業者が能力の限界近くで稼働しており、熟練労働力の不足が将来の供給を制約するとされる(Short-term conditions appear relaxed, but capacity pressures signal future constraints)。
Halifax CMAでは、2025年にアパート(集合住宅)の建設中戸数が12,389戸に達し、過去最高を記録した(Figure 1)。賃貸建設が全体の活動を主導する一方で、中密度住宅も将来の供給形成において重要な役割を果たし続けた(Medium-density construction remained historically strong)。
アパートの建設中戸数は2024年の8,848戸から2025年に12,389戸へ増加した。Row(連棟)住宅は2024年の551戸から2025年に712戸へ増加した。一方、Single-detached(戸建て)は2024年683戸から2025年682戸へほぼ横ばい、Semi-detached(二戸建て)は218戸から214戸へと小幅な変化にとどまった(Figure 1)。
ミッシングミドル(中密度住宅)の着工は前年からわずかに減少したものの、依然として過去2番目に高い水準に達した。新築の減少は、緩やかな高密度化や都市近郊のインフィル開発を促す政策に支えられたコンバージョン(用途転換)の増加によって相殺された(Medium-density construction remained historically strong)。
これらのゾーンの外側では、建設業者は高密度の賃貸プロジェクトにより注力する動きを見せた。長期的に見ると、アパートの建設中戸数は2015年の3,016戸から2025年の12,389戸へと大幅に拡大しており、賃貸を中心とした高密度供給の伸びが供給構造の変化を示している(Figure 1、Medium-density construction remained historically strong)。
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