カナダの住宅供給ギャップは前年の評価からほぼ横ばいである。2036年までにパンデミック前の手頃さを回復するには、年間およそ41万7,000~46万9,000戸が必要とされるが、現行の趨勢が続いた場合(BAU)の全国着工数は23万1,000戸で、今後10年間にわたり年間18万7,000~23万8,000戸の供給ギャップが残ると予測されている(Highlights / Table 1)。
全国の推計は市場ごとの重要な違いを覆い隠している。TorontoとCalgaryではギャップが縮小し、Vancouverは横ばい、OttawaとMontréalではギャップが拡大した。Table 1によると、供給ギャップ(High)はToronto 26,000戸、Ottawa 27,000戸、Montréal 56,000戸、Vancouver 7,000戸、Calgary 5,000戸、Edmonton 0戸である。Calgaryは強い建設活動でギャップをほぼ半減させ、Edmontonは建設が人口増加に概ね追随しているため測定可能なギャップがない(Highlights / Table 1)。
バンクーバーでは、賃貸開発が新規供給の主要形態になりつつある。賃貸アパートは2026年の住宅着工の約60%を占め、2016年の20%未満から上昇し、2025年比で約36%増加した。一方、コンドミニアム着工は弱い2025年に続き2026年上半期にさらに40%減少し、2011年以来最も弱い新規コンドミニアム建設の上半期となった。未販売在庫はSurrey、City of Vancouver、Burnaby に集中し、特にBurnabyで増加が顕著である(Rental housing is becoming the dominant form of new supply / Weak condominium construction threatens future ownership supply)。
カナダの住宅市場は新たな局面に入りつつあり、人口増加の鈍化、賃貸市場の均衡化、手頃さの改善、多くの都市での完成戸数の増加が見られる。共通のテーマとして、供給の伸びが工事中の案件に牽引される一方で新規案件の立ち上げが弱まり、賃貸市場は均衡に向かい、持ち家向け住宅はコンドミニアム建設の弱さから供給課題に直面している。今後2年間は移民目標の引き下げや一時滞在者の減少により需要が弱まると見込まれるが、主要リスクは需要が再び強まる際に十分な供給がないことである(Highlights / Need for more supply extends beyond the current market downcycle)。
カナダは2036年までにパンデミック前の住宅取得可能性を回復するため、年間187,000〜238,000戸の住宅供給ギャップに直面している。今後10年間で取得可能性を改善するには、現在の予測の約2倍の住宅建設が必要とされる。市場条件の一部改善にもかかわらず、住宅需要の弱まりと建設のさらなる減速が重なると見込まれている(Canada's housing challenge persists section)。
主要市場(Vancouver、Calgary、Edmonton、Toronto、Ottawa、Montréal、Halifax)では、専用賃貸住宅が全アパート着工の3分の2を占めるようになった。賃貸市場のデータは広範な供給過剰ではなく市場の正常化を示しており、空室率の上昇と賃料成長の鈍化が需給の均衡回復を後押ししている。一方で、コンドミニアムと戸建て型の建設はToronto、Vancouver、Ottawa、Montréalなど主要都市で急減しており、長期的リスクは賃貸の過剰よりも所有向け住宅の不足にあると指摘されている(Figure 3)。着工実績では、賃貸アパートが2025年に69,475戸へ増加した一方、コンドミニアム・アパートは34,259戸に減少した(Figure 3)。
Edmontonは測定可能な供給ギャップがない数少ない主要市場で、住宅供給が人口成長に追随して取得可能性を維持している。2026年上期の総着工は前年比20%減となったが、依然として歴史的平均を上回る。アパート完成は30%増、建設中戸数は17,900戸と過去最高に達した。コンドミニアム・アパート着工は14%増で、完成未販売在庫はほぼ半減した(Edmonton sections、Figure 1)。Calgaryでは供給ギャップが縮小し、今後10年間で年4,000〜5,000戸の追加が必要とされる。2026年上期の総着工は20%超減少、完成は9%増(アパート完成は約32%増)。専用賃貸着工は30%超減少したが全着工の約60%を占め、コンドミニアム着工は4%増、完成未販売在庫は59%減となった(Calgary sections)。
多くの市場が着工増加局面から建設プロジェクトの引き渡し局面へ移行している。賃貸市場では空室率の上昇や賃料成長の鈍化が広がる一方、相対的に手頃な所有向け住宅への需要は堅調を維持している。人口成長は中期的に緩やかにとどまるが、長期的には回復し所得上昇も需要を支えるため、供給の必要性は増すと見込まれる(Figure 2、各都市 sections)。
Toronto、Ottawa、Montréalの各CMAは、2019年(パンデミック前)水準の住宅取得可能性を回復するために依然として大幅な住宅供給拡大を必要としている。Torontoは今後10年で年間住宅着工を少なくとも50%増やす必要があり、持続的な改善には年21,000〜26,000戸の追加着工が求められる。Ottawaは年22,000〜27,000戸、Montréalは年42,000〜56,000戸の追加着工が必要とされ、Montréalは現行の年間着工率の3倍超を要する。
三都市とも賃貸(purpose-built rental)が新規供給の中心となった。Ottawaでは賃貸が2026年の着工の54%、完成の64%、建設中戸数の69%を占め、建設中の賃貸比率は前年の53%、2023年の30%から上昇した。賃貸アパート着工は前年比3%増、分譲アパート着工は49%減。Montréalでは賃貸が2026年上期の着工の86%と過去最高を記録した。Torontoでは2026年上期に賃貸アパート着工が2025年比82%増となり、着工が伸びた唯一のカテゴリーとなった。
Torontoでは戸建てフリーホールド着工が20年以上の減少を経て過去最低水準にあり、City of Torontoの分譲コンドミニアム着工は2026年上期にわずか156戸(過去10年の年平均7,000戸に対して)に落ち込んだ。賃貸アパート着工は1994年以来初めて分譲アパート着工を上回った。Ottawaは建設中戸数が過去最高で、2026年上期の完成は前年比22%増。Development Charge Reduction Programへの参加や最大4戸as-of-rightを認める新ゾーニング条例など供給支援策も進む。Montréalではcost-to-income比率が34%から48%へ上昇し1990年代以来の高水準となった。
供給ギャップは所有(ownership)市場に集中しつつあり、分譲コンドミニアムは弱い先行販売、投資家需要の低迷、財務的採算性の悪化により建設が停滞している。賃貸供給は当面拡大が見込まれるが、Torontoでは分譲完成の減少が将来の二次賃貸供給を減らし、賃料と空室率に再び上昇圧力をかける恐れがある。Montréalでは新規供給が高家賃セグメントに偏り、pending startsも近月で減少しており、供給押し上げが一時的にとどまる可能性が指摘される。
モントリオールでは持家向け(ownership)住宅の供給がコンドミニアム開発の低迷により制約されている。過去10年間、コンドミニアムは新規持家着工の60%超を占めてきたが、2026年にはその割合が40%に低下した。新築コンドミニアム着工は複数年来の低水準にとどまっている。一方ハリファックスでは、賃貸が住宅着工全体の78%、現在建設中の戸数の89%を占め、賃貸中心の市場となっている。
モントリオールでは、特にダウンタウンで新規コンドミニアムプロジェクトが減少している。新築コンドミニアム価格は同等の再販市場物件より最大40%高く、需要が減退している。開発業者は建設コストと市場が吸収できる価格のバランスに苦慮しており、短期的にコンドミニアム建設は低調が続くと見込まれ、持家向け供給は限定的なままとなる見通し。図1(Figure 1)によると、モントリオールCMAの賃貸着工が新規建設を支配する一方、コンドミニアム着工の事業性は弱まり続けている。
ハリファックスでは長年にわたる高水準の住宅建設が賃貸市場の状況を改善している。記録的なアパート竣工により利用可能な戸数が増え、空室率の上昇と家賃上昇の緩和につながった。ただし、新築物件を利用できない低所得世帯を中心に手頃さの課題は残る。持家分野でも、2019年以降の価格上昇に所得が追いついておらず課題が続く。建設中戸数は2026年上半期に過去最高の14,400戸に達し、2021年の5,900戸未満から大幅に増加した。人口1万人あたりの着工数は2024年の65をピークに2026年は40へと低下している(Figure 1)。
ハリファックスの長期的な手頃さ見通しにとって最大のリスクは、現在の開発パイプライン完了後に住宅生産を維持できるかである。資金調達や建設能力に加え、上下水道など水インフラの容量制約が開発活動の重しとなっており、特に主要な交通回廊付近で建設可能な場所と量に影響を及ぼしている。賃貸・持家双方の供給とインフラの拡充が続かなければ、近年の手頃さの改善は持続が難しいとみられる。
各 Finding をクリックすると、その要約がどのセクション/表を根拠にしているかを右側で確認できます(双方向ハイライト・抜粋展開)。
同じ URL で保持している過去の版です。各版をクリックすると当時の要約を確認できます。